老人と電卓

現金とか不動産といった財産の贈与を受けたときには贈与税がかかりますが、住宅を取得するため親、あるいは祖父母などの親族からお金を援助してもらうことも贈与税の対象になります。

ただ、税法には住宅取得等資金贈与の非課税特例という制度があり、特定の要件をクリアすれば通常かかるところの税金を、大幅に減額することができる仕組みがあるんです。

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このページでは、個人が住宅を取得するためのお金を親族からもらったときに、贈与税をできるだけ少なくする仕組みや方法について解説しています。

この記事でわかること
  • 住宅取得等資金贈与の特例のメリット
  • 住宅取得等資金贈与の種類
  • 相続時精算課税制度での節税対策

住宅取得等資金贈与の非課税特例

人生のなかで最も高い買物のひとつが不動産です。土地を買ったり家を建てたりするためには、ほとんどの人が銀行などの高額な融資を利用すると思います。

このとき、もし不動産を購入する資金をご両親や祖父母から援助してもらえたら、借金の額も減すことができ、その後の生活にも多少ゆとりが生まれますよね。

ですが、お金を援助してもらうのは贈与となり、普通ですと多額な贈与税がかかってくることになります。

そこで、住宅取得の目的のため親族から資金の贈与を受ける場合に限っては、以下のような住宅取得等資金贈与の非課税特例が認められています

ただし、非課税特例によりまぬがれる税金には限度額があるうえ、業者などから購入する消費税が適用になる物件と、個人間の売買で消費税の対象にならない物件購入とで非課税限度額は異なります。

[消費税率(10%)が適用される場合の限度額]

契約年月 高品質住宅 一般の住宅
平成28年1月1日~平成31年3月31日
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,500万円 1,000万円

[消費税率(10%)の適用がない場合の限度額]
個人間で中古住宅などの売買を行い、消費税が非課税扱いの場合

契約年月 高品質住宅 一般の住宅
平成28年1月1日~平成31年3月31日 1,200万円 700万円
平成31年4月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,000万円 500万円

※高品質住宅とは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性を備えた良質な住宅として国土交通省が定めているもの。

上の表の見方は、たとえば令和2年の1月に一般の中古住宅を個人間での売買で購入したとすると、贈与を受けた金額から700万円を引いた残りの金額が課税対象になるということです。

もし1,000万円の贈与だったら、300万円に対して税金がかけられることになりますね。

個人間の売買というのは、売主・買主双方が一般個人という意味であり、不動産業者が仲介した取引であっても、それは個人間の売買です。

このように、住宅等資金贈与に該当すれば非課税特例の対象となり非課税限度額が定められていますが、注意する点としては贈与を受けた人のその年の合計所得金額が2,000万円以下でなければ、この適用は受けられないということがあります。

住宅取得等資金として認められる金銭

マイホーム

住宅取得等資金というのは、下記のいずれかに該当する新築、購入、増改築等の代金として支払うための金銭のことです。

  1. 住宅用家屋の新築
  2. 中古住宅用家屋の購入
  3. 住宅用家屋の増改築等
  4. 住宅建築を目的として購入する土地

※1~3については、住宅のための土地購入代金も含みます。

非課税特例が適用となる住宅家屋

住宅取得等資金贈与の非課税特例の適用対象となる住宅家屋というのは、床面積が40㎡以上240㎡以下の家屋のことをいいます。

もしも床面積40㎡以上50㎡以下の場合には、贈与を受ける人のその年の合計所得金額が1,000万円以下なら適用となります。

そして、この非課税特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに上記の住宅家屋に居住すること、もしくは3月15日を超えても遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれることが条件になります。

住宅取得等資金贈与の適用対象者

贈与には、贈与者(贈る側)と受贈者(受け取る側)がいるわけですが、住宅取得等資金贈与の非課税特例が適用になるのは次の人です。

  • 贈与者 ⇒ 受贈者の直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)
  • 受贈者 ⇒ 贈与者の直系卑属(子、孫でその年の1月1日現在で20歳以上の者)

このように定められているので、お金をあげる側はひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんでもOKということになります。

ただし、贈与を受けた年に受贈者の合計所得金額が2,000万円以下でないと適用になりません

特例を受けたときの計算例
ここでひとつ、住宅取得等資金贈与の特例を受けた場合の計算例を挙げてみます。
・贈与額 ⇒ 1,800万円
・贈与日 ⇒ 令和3年10月
・税率 ⇒ 40%
・購入物件 ⇒ 一般の中古住宅
贈与税を求める算式や税率は知っておきたい税の仕組みのページで説明していますが、
課税価格 × 税率 - 控除額= 税額の算式にあてはめて計算します。
1,800万円(贈与額) - 500万円(非課税限度額) = 1,300万円
1,300万円 - 110万円(基礎控除額) = 1,190万円(課税価格)
1,190万円 × 40% - 190万円(控除額) = 286万円
ということで、贈与税額は286万円です。
もし特例の適用がなかった場合には、
(1,800万円 - 110万円) × 45% - 265万円 = 495.5万円
となり、約200万円もの差額になります。

贈与税の配偶者控除|おしどり贈与

おしどり夫婦

住宅取得等資金贈与の非課税特例は夫婦間においても適用でき、贈与税の配偶者控除といいます。

これ、仲の良い夫婦にちなんで「おしどり贈与」とも呼ばれてるんですね。

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者から居住用の不動産の贈与を受けたときや、居住用の不動産を取得する金銭の贈与があった場合にも、贈与を受けた翌年の3月15日までに実際に居住していれば2,000万円までは非課税なんです。

この制度を利用する機会は人それぞれだと思いますが、実際に利用するとなると贈与税にはもともと110万円の基礎控除がありますから、あわせると2,110万円までが非課税枠となります。

とはいうものの、贈与税がかからなくても登録免許税や不動産取得税、毎年の固定資産税などは、別に払う必要があることを考慮しておかないといけませんよ。

相続時精算課税制度は2,500万円の非課税

贈与税

相続時精算課税制度というのは、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫へ生前贈与を行うときに利用できる制度で、暦年課税制度に対しての選択制になっています(令和4年4月1日以降は18歳以上の子や孫が受贈者の対象)。

相続時精算課税は、生前贈与がスムーズに行えることを目的にした制度で、父母や祖父母が健在なうちに保有する資産を子や孫に移転していくものです。

本来、贈与税は相続税を補完する役割を担っていますが、相続時精算課税制度は相続を念頭に置いた贈与税の仕組みといえます。

相続時精算課税制度の仕組み

相続時精算課税制度は、贈与時には贈与財産に対する軽減された贈与税を支払います。

その後相続が発生したときには、その贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、すでに支払い済みの贈与税額を精算する仕組みになっているんですね。

この制度の特徴は、贈与を受けたとき2,500万円までの特別控除があり、同一の父母・祖父母から受ける贈与であれば2,500万円に達するまでは非課税で何度でも利用できるところです。

もし、贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた額に対して20%の贈与税が課税されることになりますが、その贈与税は将来相続時に相続税額から差し引かれることになり、さらには相続税額が少なかったら差額が還付されます。

文章ではなかなかわかりづらいですよね。僕も説明しているうち頭がこんがらがってきたので計算例を挙げてみたいと思います。

相続時精算課税制度を利用した贈与税の計算
・贈与額 ⇒ 父親から4,000万円
・贈与日 ⇒ 令和3年10月
・購入物件 ⇒ 一般の建売住宅(消費税10%)
今回は、「相続時精算課税制度」と「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の両方を利用したと想定します。
なお、相続時精算課税を求めるのは、
(贈与額 - 2,500万円) × 20% = 税額
という算式です。
4,000万円 - 1,000万円 = 3,000万円
(消費税適用の一般住宅は、非課税限度額が1,000万円:上記表参照)
3,000万円 - 2,500万円 = 500万円
500万円 × 20% = 100万円
ということで、贈与税は100万円です。

将来相続が発生したときには、相続時精算課税の受贈財産である3,000万円が相続財産に加算されます。
また、納付済みの贈与税100万円は相続税額からは控除され、控除しきれなかったら還付されます。

いかがでしょう、ご理解いただけましたか? 説明がヘタでごめんなさい。

また、相続時精算課税制度は選択制なので、父からの贈与には利用しても、母からの贈与には利用せずに従来の暦年課税方式を利用するというふうに選択することができます。

ただし、相続時精算課税制度を一度選択したら、再びもとの暦年課税方式に戻すことはできません

そして、この制度を利用するときには、暦年方式での贈与税の年間の基礎控除(110万円)を同時に利用することもできなくなるので、そこは注意が必要です。

相続時精算課税制度のメリット

メリット

相続時精算課税制度のメリットとしては、税金の支払いを先延ばしにできる点が挙げられます。

税金を安くすることはできませんが、2,500万円までの非課税枠内であれば贈与のときに税金を気にする必要はなくなります。

たとえば、生前贈与である程度まとまった財産を譲り渡しておきたいと思っても、高額な贈与税のことを考えると躊躇してしまうというようなときなどにはメリットがあると言えるでしょう。

ほかにも、所有する不動産が将来的に価値が上がりそうだと思われたら、評価額の低いうちに贈与しておくという方法もあります。

なぜなら相続時精算課税制度は、贈与した時点での固定資産税評価額で相続税の計算が行われるので節税につながるからですね。

たとえば、所有する土地の近くに新しく駅が出来たり、大きな道路が開通することが決定していて、明らかに土地の価格が上がると見込まれるときなんかには、この制度を利用することを検討してもいいかもしれません。

相続時精算課税制度のデメリット

デメリット

相続時精算課税のデメリットは、一度この制度を利用してしまうと、その後の贈与はすべて相続時精算課税制度が適用されることになり、暦年課税制度には戻れないという点があります。

暦年課税だと、年ごとの贈与が課税対象になりますが、毎年110万円までは贈与税が課税されない基礎控除枠があります。いったん相続時精算課税を選択すると、この基礎控除は利用できなくなるのですね。

相続時精算課税制度は、相続時に納める税金を節税することは可能ですが、税金が安くなるわけではありません。

それに対し、暦年課税制度のまま基礎控除の非課税枠を利用して、長期にわたり生前贈与を行うほうが、最終的に相続税の負担を減らすことになることがあるかもしれません。

そのあたりは人それぞれですので、相続時精算課税制度を選択しないほうがよい場合も考えられますね。

ほかにも相続時精算課税制度では、土地の相続税の特例である小規模宅地等の特例が、生前贈与したのでは使えないというデメリットもあります。

※小規模宅地等の特例とは、事業用または居住用の宅地等について、一定の面積割合に応じて相続税の課税価格が軽減される仕組みのことです。

まとめ

不動産は高い買い物ですから、親御さんなどが資金援助をしてくれるとしたら有難いことです。

ただ、贈与に関わってくることなので、よく考えずにお金の受け渡しをすると思わぬ税金がかかってきて大ショック!なんてことになりかねません。

ショック

ここでは、住宅を取得するための資金援助を受けたときの、贈与税の軽減特例についてご紹介しましたが、特例にもいくつかの種類や方法があることをおわかりいただけたでしょうか。

相続時精算課税制度などは、贈与時に2,500万円まで非課税ということで、節税対策にはもってこいという印象を受けるかもしれませんね。

ですが、相続時に生前贈与の分までを合算して相続税を計算するだけで、相続時精算課税を利用することで必ずしも税負担が軽減されるというわけでもありません。

住宅を取得するための資金援助を受けるときには、贈与する側もされる側もメリットとデメリットをよく理解して、自分たちに最も適した方法を選択しましょう。

確実に節税するためには、税理士さんなどの専門家に相談するのも必要なことかもしれませんね。