建築条件付き土地ウラの裏|建売との違いや違法契約の手口など

売地には、定められた建築業者と請負契約を結ぶ条件の元に購入できるものがあり、これを建築条件付きの土地といいます。

建築条件付き土地には複雑な面があり、契約したあとで「知らなかった」ではすまされない、いくつかの重要な注意点があります。

ここでは建築条件付き土地の購入を検討する際に、是非おさえておいてほしいポイントについて説明しています。

Profile この記事を書いた人

ブログ運営者不動産会社に勤務しているシュンペーです。
お客様を相手にしていつも思うのが、納得いただける説明ができているだろうかという点です。
頭で思ったことを正確に伝える練習の一環として、ブログを始めました。
不動産屋の説明がわかりにくいと感じる方のため、痒いところに手が届くようなブログにできればいいなと思っています。
資格 ~ 不動産コンサルティング、宅地建物取引士、2級建築士、賃貸不動産経営管理士など。

この記事でわかること
  • 建築条件付き土地の仕組み
  • 建築条件付き土地メリット・デメリット
  • 悪徳業者の違法な手口

建築条件付きの土地とは?

建築条件付き土地

建築条件付きの土地とは、あらかじめ指定されたハウスメーカーや工務店で住宅を建築することが条件づけられている土地です。

土地だけを購入するのではなく住宅も購入することになるので、土地・建物セット売りの建売住宅にちょっと似てはいますね。

ただ、建売住宅は土地と建物同時の売買契約になりますが、建築条件付き土地の場合には、土地の契約と建物の請負契約は別々に行う点が異なります。

いわゆる注文住宅のカタチに近いので、建売住宅に対し、「売り建て住宅」といわれることもあります。

建築条件付き土地の場合は、自分の考えを反映した住宅を建てることができ、建売住宅のような決まった仕様のお家とは違い、個性を活かした建物を建てるのも可能になります。

ただし、完全な注文住宅とは違って、建築業者が指定されるのと、決められた構造や工法の範囲内での自由設計になりますね。

実際には、用意された建物プランのもとに打ち合わせをしていきますが、間取りや部屋数をいじるといった大きな変更は少なくて、設備や内装面に買主の希望を反映させる場合が多いようです。

建築条件付き土地のメリット

建築条件付き土地のメリットは、自分好みの建物プランに沿って建築できる点です。

建売住宅とは違い、注文住宅の感覚でお家を建てられるのが大きな特徴ですね。

建築条件付き土地のメリット
  • 希望を取り入れながら建物プランを作成できる
  • 土地を相場値より安く買える場合がある
  • 建物が出来上がっていく過程をチェックできる

建物プランに希望を取り入れられる

設計図

建築条件付き土地の建物は、自由設計とはいっても完全な注文建築ではなく、業者規格の制限内での設計ということになりますが、それさえ納得できれば理想に近い住宅にすることができます。

通常は建築業者のほうで、たたき台としての建物プランが用意されている場合が多く、条件の許す範囲内で間取りや設備、仕様などを変更していきます。

建築知識の乏しい買主側にとっては、ある程度プランを提示してもらうほうがラクかもしれませんね。

はじめに建物プランが用意されているのは、建物の請負契約を結ぶ期限があることも関係しています。

建築条件付きの土地では、土地の売買契約を結んで3ケ月以内に建物の請負契約を締結するのが一般的なルールです。

もし、この期間内に請負契約が成立しなかったら土地契約は無効になり、何もなかった白紙の状態に戻ってしまいます

3ケ月もあればプランを考えるには十分と思われるかもしれませんが、設計の打ち合わせには結構多くの時間を費やすので、案外あっという間に過ぎてしまうものです。

土地を相場より安く買える場合がある

もし、建築条件付き土地のすぐ近くに、面積や生活環境などの条件がほとんど変わらず、建築条件なしの土地が売り出されていたとします。

この二つが同じ値段だとしたら、あなたならどちらを購入しますか?

もちろん後者、自分好みの家を建てるつもりなら、何の制約も受けない土地のほうがいいに決まってますよね。

条件付きの土地は希望する建物が建てられるといっても、建築業者は指定され、許される範囲内での自由設計しかできません。

それに比べて、建築条件なしの土地であれば完全な注文建築が可能になり、木造でも鉄骨造でも、あるいはRC造の住宅でも、好きな建築会社で建てることができるわけです。

さらに、建築条件付きの土地では3ケ月という短い期間の中でプランを考えなければならないのに対し、条件なしの土地はゆっくり時間をかけてプランを練ることもできます。

これらから、地域性や面積形状が同じ場合には、建築条件付き土地は条件なしの土地と比較して不利だと言えます。

同じ土俵で戦ったら、負けが見えているわけですね。

なので、売主業者によっては、建築条件付き土地の価格をはじめから相場よりも低く設定し、割安感を演出している場合があります。

もしくは、土地の値引き交渉に応じるケースがあったりします。

ただし、生活環境や利便性などに優れ、圧倒的に人気のある地域の土地においては、強気の価格が設定されています。

なぜなら、人気のある土地は「ほっといても売れる」物件だからです。

すべてではありませんが、建築条件付き土地の価格は割安である、あるいは割安にできる可能性があるということですね。

建築の過程をチェックできる

建築中の建物

建築条件付き土地の建物は、すでに完成している建売住宅と違って、建物が出来上がっていく過程を見ることができます。

そのへんは注文住宅と同じですので、時々建築現場をチェックして、もし思いついたことがあれば変更や修正することもできます。

構造や工法的によほど無理がない限り、少々のことであれば変更してもらえる可能性はありますよ。

建築条件付き土地のデメリット

建築条件付きの土地は、人によってはメリットを活かせますが、別の人にとってはデメリット面が勝ってしまうこともあります。

メリットのところで説明した内容と重複する箇所もありますが、デメリットについて挙げてみます。

建築条件付き土地のデメリット
  • 注文住宅ほどには自由設計できない
  • 建物プランを決める期間が短い
  • 土地契約のときに注意を要する

注文住宅ほどには自由設計できない

建築条件付き土地では、あらかじめ建築業者が指定されているので、希望するハウスメーカーや工務店に変更したり、希望する構造や工法を依頼することはできません。

建売住宅よりは理想のお家に近づきますが、完全な注文住宅のような自由設計は無理なんですね。

通常あまり見かけないような間取りや内装、特殊な設備を設置したいときは、どこまで対応できるのかを契約前に確認することが重要です。

建物プランを決める期間が短い

建築条件付きの土地は、購入してから3ケ月以内に建物の請負契約を結ばなければ、土地の購入自体が白紙解約になってしまいます。

ということは、正味2ヶ月余りで建物のプランを決定する必要があるわけですね。

そこで問題になるのが時間です。毎日忙しく過ごす中では、家族全員の希望を取り入れてプランを検討する時間も限られてきます。

住宅を建てるとなると打ち合わせることはたくさんありますから、3ケ月という期間は思うほど長くはありません。

このように、限られた期間でプランを考えるとなると、どうしても焦る気持ちが湧いてきそうです。

充分にプランを考えられなかったばかりに、建物完成後に後悔しても取り返しはつかないのです。

自分たちには特に要望がなく、建築業者から提示されたプランをそのまま採用するというのであれば気にすることもないでしょう。

ですが、それでは建築条件付き土地を購入した意味が薄れますよね。建売住宅の購入でもよかったことになります。

あとで後悔しないためには、早くからプランを考えるしかないのかなと思います。

土地契約のときに注意が必要

土地売買契約書

先述したように、3ケ月の期間内に建物の請負契約が結ばれなかったときには、土地購入の契約自体が白紙解約になります。

白紙解約というのは、契約前の何もなかった状態に戻すことを指すので、通常ならそれまでに支払った手付金などはすべて返金されることになります。

ここで注意しなければいけないのは、売買契約書にちゃんとその旨が記載されているかの確認です。

悪質な業者になると白紙解約の説明をしなかったり、広告やチラシには白紙解約と載せていても、契約書にわざと記載しないことがあります。

そして実際に解約を申し出ると、素人で知識のない買主に対して、本来は違反行為である手付金の没収とか、違約金の請求をするケースがあるのです。

なので、建築条件付き土地の売買契約では、そのあたりを必ず確認してください。

もうひとつ注意してほしいことがあります。

建築条件付き土地の売買契約の席上で、どんなに迫られても建物の請負契約を結んではいけません

理由については次の項で詳しく説明しますが、普通の売主業者であれば絶対にしないことなので、土地と建物の同時契約の話が出た時点で悪徳業者と断定できます。

さらに、土地と建物の請負業者が同一の売主ではなく、土地はA、建物についてはBというふうに別々の業者であったりすると、トラブルの際に責任の所在が曖昧になるので、この点についても注意が必要です。

建築条件付き土地にからむ違法行為

大変残念なことですが、建築条件付き土地の売買取引にからみ違法行為を行う業者があることは事実です。

違法行為は売主が自ら行う場合と、売買の仲介をする不動産業者が行う場合があります。

ここでは、それぞれについて、その手口をご紹介します。

売主業者の違法行為

建築条件付き土地の売買では、土地購入の契約後に建物の請負契約を結ぶわけですが、建物プランの打ち合わせに要する期間を見越して、3ケ月以内に請負契約を結ぶものとされています。

ただ売主業者からすれば、もし3ケ月の間に請負契約に至らず、最終的に白紙解約になったのでは一銭にもならないうえ、その間の労力が水の泡になる可能性もあるわけです。

そこでこのリスクを解消するため、土地を契約すると同時、あるいは短期間のうちに建築請負契約を結ばせようとします。

なぜかというと、建築条件付き土地の売買契約は白紙解約になると手付金が返還されますが、建築請負契約の場合は白紙解約にならず、違約金を請求できるようになっているからです。

いったん請負契約を結んでしまうと、解約するなら違約金を支払うことになります。

また、違約金を支払って請負契約を解除しても、同時に土地の契約も解除されることになります。

こうなると買主としては、違約金を取られて土地まで失うのなら、泣く泣く契約を続行しようとなるのですね。

売主業者としては、契約が破談にならずにすむわけです。

ここでの注意点は、いくら業者に急かされても、早期に請負契約を結ばないことです。

待ったをかける男性

いったん契約書に記名・押印したあとでは、仮に訴えを起こしてもひっくり返すのは相当難しいようです。

仲介業者(不動産業者)の違法行為

仲介業者(不動産業者)を通して、建売住宅や建築条件付き土地の売買取引が行われるケースは少なからずあります。

その際、仲介業者が関与する以上は、当然ながら仲介手数料が発生することになります。

このとき、建売住宅では土地と建物を合わせた総額が仲介手数料を算出する対象になりますが、建築条件付き土地では土地の価格のみが対象です。

当たり前ですよね。後者の場合、まだ建物はないのですから。

仲介手数料の比較

土地価格1,000万円で、建売住宅と建築条件付き土地を仲介したときの手数料は、
■建売住宅(土地1,000万円、建物2,000万円)
3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
■建築条件付き土地(土地1,000万円)
1,000万円 × 3% + 6万円 = 36万円
と、なります。
実際にはこれに消費税が加算されますが、わかりやすくするため省きました。

これがそれぞれ、買主が仲介業者へ支払う仲介手数料ですが、ご覧のように差額が60万円になるんですね。

そこで、土地だけの仲介手数料では面白くないと考える不動産業者は、次のような手口を使います。

とりあえず建築条件付き土地の契約を結んだあとで、建物プランが決まったら請負契約を結ぶところまでは普通です。

問題は、その後に建築確認許可が下りた時点で、先の二つの契約を買主と合意したカタチで解除し、改めて建売住宅のような土地と建物が最初からセットであったと見せかける契約書を作成する点です。

そうしておいて、土地価格と建物価格を併せた総金額を対象とした仲介手数料を請求するというわけですね。

不動産取引の知識に乏しい買主は、「そういうものか」と訳も分からず言われたままの仲介手数料を支払ってしまいます。

しかしこれは、建築請負業が宅地建物取引業とは別業種なので、建築請負契約を対象とした仲介手数料を受け取れないために考え出された悪徳商法です。

こうすることで、買主は実際には支払う必要のない仲介手数料を支払わされることになります。上記の例でいうと60万円がそれです。

これは明らかに、宅地建物取引業法に抵触する違法行為で、売主業者の協力なしには実行できません。俗にいうグルです。

仲介業者だけでなく、売主も不正に加担する信用できない業者ということになりますね。

この違法行為は、最近では少なくなりはしたものの、以前バブル景気の頃には頻繁に行われていた手口です。

建築条件付き土地は業者の事情

ビジネスの種類

建売住宅と建築条件付きの土地では、売主である業者にとってどちらがメリットが大きいのでしょうか。

換金性においては、すでに出来上がっている建売住宅のほうが優れています。

とくに問題がなければ、契約してから遅くとも2ヶ月以内には買主へ引き渡して資金回収ができます。

一方、建築条件付き土地の場合は、建物の着工まで最長で3ケ月のブランクがあり、建物完成までさらに3ケ月かかるとすると、代金全額が手元に入るまで半年以上はみておかなければならない計算になります。

それなら、はじめから勝負の早い建売住宅を販売するほうがいいのでは? と思われるかもしれませんが、実はそこに業者の事情があるのです。

先述したのは、契約後に資金回収できるまでのスピードの比較ですが、契約前、つまり物件が売れるまでのリスクについて比較するとどうなるでしょうか。

商品として売り出すには造成費や建築費を先行投資することになりますが、販売開始から契約にこぎつけるまでの期間が長くなるほど、借入金利や維持費といったコストは重くのしかかってきます。

すでに建築費をかけている建売住宅は、いつ頃売れるという保証もないまま、コストを抱え続ける状態になります。

それに比べると、売れなくても土地だけで放っておける建築条件付き土地のほうが、リスクが低いとい言えるわけです。

ざっくばらんに言えば、資金に余裕のある業者は「建売住宅」の販売、資金力のない業者は「建築条件付き土地」というふうに、業者の事情によって販売方法も変わってくるということです。

金庫のおもちゃ

まとめ

建築条件付き土地は、建売住宅と異なり、自分の考えを間取りや内装などに反映できる点が特徴です。

ただし、建築業者の指定があることや、建物プランを決定するまでの期間が短い点など、本格注文住宅ほどには自由度が高くないことは頭に入れておきましょう。

今回は、建築条件付き土地を検討されている方が、違法行為で損してほしくないために書きました。

建築条件付きの土地を購入する際には、必ず売買契約書の内容を確認し、建築請負業者の内容や実績なども調べてから契約するようにしましょう。

最後まで、お読み頂き有難うございました。