マイホームを持つのは人生のうえで大事業といえますが、最近では二度、三度と住宅を買い替える人のお世話をさせていただくこともあります。
転勤がきっかけであったり、より高品質な住宅への住み替えであったり、買い替える理由はお客様によりいろいろですが、いずれにしても不動産を売ると税金がかかります。
不動産会社に勤務しているシュンペーです。
お客様を相手にしていつも思うのが、納得いただける説明ができているだろうかという点です。
頭で思ったことを正確に伝える練習の一環として、ブログを始めました。
不動産屋の説明がわかりにくいと感じる方のため、痒いところに手が届くようなブログにできればいいなと思っています。
資格 ~ 不動産コンサルティング、宅地建物取引士、2級建築士、賃貸不動産経営管理士など。
不動産を売ったときにかかる税金を譲渡所得税といいますが、不動産は高額なので、譲渡所得税もそれ相応の負担になります。
ただ、税制にはたいてい特例措置が設けられているように、譲渡所得税にも特例制度があり、これを上手に利用することで税額を軽減する方法もあるんですね。
ここでは、譲渡所得税の種類や課税内容にも違いがあることや、譲渡所得税を免れることのできる特例についてご紹介しています。
- 譲渡所得税の仕組みが知りたい
- マイホームを売るときの税金が気になる
- 譲渡所得税が安くなる方法を知りたい
譲渡所得税とは

土地や建物を売却したときに利益(譲渡所得)が出ると、その利益に対して課税されるのが譲渡所得税です。
逆にいうと、利益が出なければ譲渡所得税はかかりません。
売却して得た収入金額から、マイホームを取得したときの金額やかかった経費を差し引いて残ったものが譲渡所得金額となり、そこからさらに控除額を引いたものが課税譲渡所得金額です。
課税譲渡所得金額 = 売却価格 - 取得経費 - 売却経費 - 控除額
譲渡所得税は、この課税譲渡所得金額に一定の税率をかけて税額が決まります。
譲渡所得税には、売却した不動産を所有していた期間により短期譲渡と長期譲渡に区分され税率が異なったり、住んでいた住宅を売却したときの居住用資産の売却特例などがあります。
長期譲渡所得税は5年超
不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年を超えるときには長期譲渡所得税が課税されます。
[例 : 2015年12月31日以前に取得し、2021年1月1日以降に売却]
この場合に税額の計算は、
課税譲渡所得金額 × 20%(所得税15%・住民税5%) = 長期譲渡所得税
となります。
短期譲渡所得税は5年以下
不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得税が課税されます。
[例 : 2016年1月1日以降に取得し、2021年12月31日以前に売却]
この場合の税額の計算は、
課税譲渡所得金額 × 39%(所得税30%・住民税9%) = 短期譲渡所得税
ただし、国に土地を譲渡する場合には、短期であっても税額は長期譲渡の計算式で算出されます。
長期譲渡と短期譲渡の区分けは、所有期間が5年以内か5年を超えるかで決まるわけですが、単に所有期間が5年間というのではなく、譲渡した年の1月1日の時点が判断基準日なので、そこのところ十分注意するようにしてくださいね。
復興特別所得税
2012年以前にはありませんでしたが、2013年からは長期および短期譲渡のいずれにおいても、所得税額の2.1%が復興特別所得税として別途に課税されるようになりました。
ここまでの説明を、土地を売却したと仮定して具体的な計算で表してみます。長期譲渡所得税と短期譲渡所得税でどれくらい税額に差が出るでしょうか。
・売却価格 ⇒ 5.200万円
・購入価格 ⇒ 1,800万円
・譲渡経費 ⇒ 250万円
■長期譲渡所得の場合
- 課税譲渡所得金額を計算します。
5,200万円 - 1,800万円 - 250万円 = 3,150万円 - 所得税額を計算します。
3,150万円 × 15% = 4,725,000円 - 住民税額を計算します。
3,150万円 × 5% = 1,575,000円 - 復興特別所得税額を計算します。
4,725,000円 × 2.1% = 99,225円 - 長期譲渡所得税
② + ③ + ④ = 6,399,225円(合計)
■短期譲渡所得の場合
- 課税譲渡所得金額を計算します。
5,200万円 - 1,800万円 - 250万円 = 3,150万円 - 所得税額を計算します。
3,150万円 × 30% = 9,450,000円 - 住民税額を計算します。
3,150万円 × 9% = 2,835,000円 - 復興特別所得税額を計算します。
9,450,000円 × 2.1% = 198,450円 - 短期譲渡所得税
② + ③ + ④ = 12,483,450円(合計)
この例でわかるように、長期と短期で税額はかなり違ってくるので、所有する不動産を売却するタイミングは慎重に検討する必要がありますね。
いずれにしても高額な譲渡所得税ですが、安心してください。
譲渡所得税には、自分が住んでいる住宅を売るときには、税金が極端に安くなるなど様々な特例措置があります。
次からは、特定不動産を売却したときの軽減特例について解説していきます。
特定の不動産を売るときの軽減特例

譲渡する居住用資産(自分の住んでいる住宅とその敷地)の場合とか、優良住宅地の造成事業等のため土地を譲渡するなどの特定の場合には、一般の譲渡とは違い税金が軽減される特例措置があります。
- 居住用資産を売るときの特例
- 居住用資産を譲渡したときは3,000万円の特別控除
- 所有期間10年超の居住用資産の譲渡は軽減税率が適用
- 特定の居住用資産の買換え特例
- 居住用資産の買換えに係る譲渡損失の繰越控除
- 居住用資産の譲渡損失の繰越控除
- 優良住宅地の造成等のため土地を譲渡したときの税率軽減
- 特定事業用資産の買換えの特例
- 低未利用土地等を譲渡したときの長期譲渡所得の100万円の特別控除
- 固定資産の交換の特例
- 特定住宅地造成事業等のため土地を譲渡した際の1,500万円の特別控除
- 中高層耐火建築物等の建設のための買換えの特例
譲渡所得税の特例制度は、複雑な要件が組み合わさって構成されていますが、ポイントさえ押さえておけば、それほど難しいものでもありません。
ここからは、複数ある特例のなかでも一般人が利用する可能性が高いと思われる、マイホームを売ったときの3つの特例制度に絞って説明していきますね。
譲渡所得税を免れる3つの特例
譲渡所得税の課税制度には、居住用資産を売却したときに税金を免除されるありがたい特例があります。
居住用資産とは、実際に居住している住宅とその敷地のこと、いわゆるマイホームです。
特例が受けられるのは居住している住宅のほかに、住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却した住宅や、災害などにより家屋が滅失してしまったときに、災害発生日より3年経過した年の12月31日までに売却した敷地も対象になります。
また、住宅に住まなくなったあと家屋を取り壊したときは、取り壊した日から1年以内に売買契約を締結し、かつ、住まなくなってから3年後の12月31日までに引き渡した場合も特例の対象になります。
そしてここがちょっとやっかいなんですが、住まなくなったあと3年の間に家屋を貸しても特例は受けられるのですが、取り壊したあとの土地を貸したりすると受けられなくなるんですね、
えっ、なぜかって? すみません理由は僕にもわかりません。そういう決まりです。(汗)
3,000万円の特別控除が受けられる

居住用の資産、要するに自分が住んでいたマイホームを売ったときは、その譲渡益(利益)から3,000万円の特別控除が受けられます。
つまり譲渡益が3,000万円に満たなければ税金はかかりません。これは長期譲渡、短期譲渡の別なく利用できる制度です。
よく誤解されるケースとして、売買代金が3,000万円までなら控除されると勘違いされている方がいらっしゃることです。
そうではなく、あくまでも譲渡益が課税対象です。
仮に3,000万円で取得したマイホームを4,000万円で売却したら、譲渡益は1,000万円ですよね。
1,000万円は3,000万円に満たないので控除され、税金はゼロということです。もっと言えば、3,000万円までの利益は非課税になるということです。
これを使わない手はないですよね。
この制度は原則的に敷地のみの譲渡では使えませんが、次の2つの要件を両方とも満たす場合には適用になります。
- 敷地の売買契約が住宅を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、その住宅に住まなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに引渡しが完了したとき
- 住宅を取り壊したあと、譲渡に関する契約を締結した日まで、その敷地を他に貸していないこと
また、この制度の大きなメリットとしては、住宅と敷地のそれぞれを夫と妻の共有名義で登記しておくと、譲渡したときには夫と妻の持ち分についてそれぞれ3,000万円の特別控除が使える点があります。
控除額が6,000万円になるので、高額な売買であっても譲渡益(利益)が6,000万円までなら税金はかからないことになります。
住宅を購入したときなど、とくに支障がなければ夫婦の共有名義で登記しておくと良いかもしれませんね。
所有期間10年超の住宅の軽減特例
この特例は税率が軽減されるのですが、居住用資産を売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている次の場合に適用されます。
- 実際に自分が住んでいる住宅
- 以前住んでいた住宅で、住まなくなった日から3年経過した年の12月31日までに譲渡した場合
- 自分の住んでいた住宅が災害によって滅失したあとの敷地で、その年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合(ただし、災害の日以後3年を経過する年の12月31日までに譲渡したものに限る)
なお、この特例は先に説明した3,000万円特別控除とセットで併用することが可能です。
3,000万円控除後の税率
■譲渡所得のうち6,000万円以下の部分
・所得税 ⇒ 10%
・住民税 ⇒ 4%
■譲渡所得のうち6,000万円を超える部分
・所得税 ⇒ 15%
・住民税 ⇒ 5%
ここでまた、頭を整理するため具体的な例題をあげて説明しましょう。
・取得 ⇒ 昭和48年に1,200万円で購入
・譲渡 ⇒ 令和3年に12,000万円で売却
・譲渡費用 ⇒ 400万円
・他の課税所得 ⇒ 600万円
・住宅の減価額 ⇒ 200万円
[所得税額]
1⃣ 譲渡益を計算します。
12,000万円 - (1,200万円 - 200万円) - 400万円 = 10,600万円
2⃣ 課税所得額を計算します。
10,600万円 - 3,000万円(特別控除) = 7,600万円
3⃣ 6,000万円以下の部分
6,000万円 × 10% = 600万円
4⃣ 6,000万円を超える部分
(7,600万円 - 6,000万円) × 15%= 240万円
5⃣ 所得税額は③ + ④ = 840万円
[復興特別所得税額]
840万円 × 2.1% = 176,400円
以上より所得税の合計は8,576,400円。
[住民税額]
1⃣ 6,000万円以下の部分
6,000万円 × 4% = 240万円
2⃣ 6,000万円を超える部分
(7,600万円 - 6,000万円) × 5% = 80万円
以上より住民税額の合計は320万円。
と、いうことになります。
特定の居住用資産の買換え特例

住んでいる住宅や敷地を売って、新たに別の住宅や敷地を買うことを居住用資産の買換えといいます。
この買換えに基づく特例は「課税の繰延べ」と呼ばれていますが、内容は次のとおり。
- 居住用資産を売った金額が、新たな居住用資産を買った金額より安かった場合には、譲渡がなかったとみなされ税金はかかりません。
- 逆に、売った金額が新たに購入した金額より高い場合には、売却代金のうち購入代金に充てた部分については譲渡がなかったとして税金はかかりませんが、それを上回る部分については課税されます。
このように非課税のときもあれば、課税される場合もありますが、仮に税金がかかっても普通に譲渡したときの税額に比べるとはるかに低い金額にはなります。
ですが、買換え特例は税金が控除されるというものではなく、その譲渡の時点では課税しないけど、買換えた居住用資産を将来売却するときには、もとの時点までさかのぼって課税されることになります。
これが買換え特例は「課税の繰延べ」と呼ばれる理由なのですね。
まとめ
不動産を売ったときにかかる税金が譲渡所得税ですが、ここでは一般の人がマイホームを売却したときの譲渡所得税の特例3つに焦点を当てて説明しました。
特例により税金が控除されたり、軽減税率で税額が安くなるのはありがたいことですが、その仕組みはなかなか複雑で、いざ制度を利用しようという場面で頭を抱えることがあるかもしれません。
たとえば最後に紹介した「買換え特例」は、実際に課税を免れるわけではありません。
もし住宅を買換えても他の特例の「3,000万円控除」であるとか、「税率の軽減特例」を利用するほうがメリットのあるケースも考えられます。
住宅の買換えであっても、必ずしも買換え特例の利用が有利だとは限らないのです。
もし、マイホームを売る時がきたら、ご自分にとって適している制度を冷静に判断し、最も節税になる特例を選択するといいですね。
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